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大学生のタスク管理に関する研究

福澤 糧子(2013年度修了)

我々は普段複数のタスクを抱えて生活をしている。 この複数のタスクに従事する現象をマルチタスキングと呼ぶ。また、タスクの計画、実行、進捗の把握を伴う一連の行動をタスク管理という。 タスク管理に関する研究はこれまで主に社会人を対象として行われており、タスク管理ツールのデザインなどが提案されている。一方、学生を対象とした研究ではマルチタスクが学業に悪影響を与えるという調査結果はあるが、大学生のタスク管理に重点を置いた研究は少ない。よって、本研究は次の2点を目的とした。1 :大学生のタスク管理の実態を調査し、大学生がどのようにタスクを認識し、実行しているかを明らかにする。2: 明らかになったことをもとにタスク管理を支援する方法を提案し検証する。

目的1を達成するために、ニーズの把握調査と実態調査を行った。把握調査では、筑波大学知識情報・図書館学類の学生に対してアンケー ト調査を行い、その結果、多くの学生がタスク管理能力を向上させる必要性を感じていることが分かった。実態調査では筑波大学院生、学類生に対し、1週間分のタスクと優先順位、見積時間を書き出してもらい、1週間後、タスクの達成度、作業時間、未達成理由、グルー ピングの視点を調査した。結果、1 週間のタスクの約44%が未達成であり、課題として、タスクの粒度の低さ、見積時間が不正確、他者との依存「生の認識欠如などが考えられた。目的 2 を達成するために、実態調査で挙げられた課題に対するフィードバックの効果を検証した。2週間の被験者内計画を立てフィードバック提示前と提示後で達成率やタスクの粒度、 見積時間の正確性、 グルー ピングの基準を比べた。 結果、 タスク管理に関するフィ ー ドバックは特に大きなタスクを細分化するなどの効果があることが分かった。

本研究から、大学生が効率的にタスクを遂行する上で直面しうる課題が明らかになると共に、タスク管理行動に関するフィードバックの提示が、大学生のタスク管理によい影響を与える可能性が示唆された。今後、パフォーマンスヘの影響の検証方法、課題に対する滴当な対策方法について考えていくことが求められる。


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