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アイスブレイカーの類型化と対人関係における効果

国分 駿介(2012年度卒)

現在、様々な集団の大きさや学術領域において集団作業が行われている。集団作業の効率を向上させることや、見知らぬもの同士の打ち解けを目的とした活動に、アイスブレイカーがある。アイスブレイカーは頭や体を使って行う簡単なゲームのことであり、現在数多くのゲームが提案されている。また近年、学術分野においても注目され、集団の構成員の打ち解けに使用されている。しかし、このような研究では、アイスブレイカーについての明確な選択基準の記載はなく、選択したアイスブレイカーの明確な効果についての記載もない。原因は、現在提案されているアイスブレイカーの類型化が行われていないことが考えられる。そこで、本研究では誰もがニーズにあったアイスブレイカーを選択できることを支援することを目的として、アイスブレイカーの類型化、アイスブレイカー推薦システムの構築、また、類型化から明らかになった提案ゲーム数の少ないアイスブレイカーについての理解を促進するため、その効果の検証を行った。

アイスブレイカーの類型化では、関連図書7冊の889個のアイスブレイカーから分類に関連する項目を抽出して統一項目を作成し、それに基づいて889個のアイスブレイカーを分類した。この類型化作業から、アイスブレイカーの特徴、アイスブレイカーが持つ目標 を達成するための主たる手法群「Big3」について、代表的な目標群と手法群の関係峰と、開発が進んでいない少数派グループの存在を明らかにした。アイスブレイカー推薦システムの構築は、類型化作業で得られたデータで、ファセット型の検索を可能にしたアイスブレイカー推薦システムを構築した。この作業を通して、類型化作業で得られたアイスブレイカーのデータがファセット型の検索インターフェースに適応することを実証した。また、889個のアイスブレイカーのデータをファセット型検索できる唯一の推薦システムを構築した。アイスブレイカーの効果の検証では、開発が遅れているSelfDiSclosureを達成目標とするアイスブレイカーに着目し、代表的な2種類の手法を用いたゲームを使って自己開示量と自己開示抵抗感への影響を検証した。結果、アイスブレイカーによって自己開示の「志向的側面』と「物理的自己」、「実存的自己」において増加傾向があった。またアイスブレイカーに開示抵抗感を軽減させ、また特に対他的側面において強い効果を発揮することがわかり、SelfLDisclosureを達成目標とするアイスブレイカーの効果がより明らかになった。

本研究によって、アイスブレイカーのより明確な選択基準を示すことができた。しかし、分類項目を洗練して再類型化を行うこととその再現性を確かめる必要がある。推薦システムはより多くのユ-ザに使用してもらうために、様々な言語対応やシステム自体の有効性を検証する必要がある。アイスブレイカーの効果についてはほかの様々な分類のアイスブレイカーに対して検証することが必要である。今後、様々な知見が加えられることでより領域の認識が深まると考える。


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