コンテンツにスキップ

グルメサイトにおけるレビュー文の特徴語提示による飲食店比較支援

坂井 杏菜(2021年度卒)

目的:飲食店に関する情報を得る際に利用する情報源として、グルメサイトが挙げられる。グルメサイトの利用により、主に飲食店の営業時間や所在地、取り扱っているメニュー等の基本的な情報や、利用者の飲食店に対する評価を知ることができる。そのため、グルメサイトは飲食店に関する基本情報を得るだけではなく、実際に利用したユーザの評価を参考に、複数の飲食店を比較することができるという利点がある。しかし、グルメサイト上に掲載された飲食店の数は膨大であり、その上、寄せられた一つ一つのレビュー文の文字数も多いために、ユーザが複数の飲食店を比較するためには、多くの時間を費やさなければならない。そこで本研究においては、グルメサイト上のレビュー文から飲食店の特徴語を抽出し、ユーザに提示することにより、飲食店の比較を短時間で容易にすることを目的とした。

方法:グルメサイトの1つである食べログの検索結果画面をもとに、特徴語提示機能を加えた画面を作成した。特徴語の選出は、口コミ文書に頻出する食材や風味に関する語と、頻出する料理名及び値段を基準に手動で抽出した。作成したシステムの有用性を検証するために、20 名の実験参加者を対象に評価実験を行った。実験ではまず参加者のグルメサイトの利用経験に関する調査を行った。次に従来システムである食べログの画面と、提案システムの両方を使用し、慣れ親しんでいない土地での飲食店の探索を行う、というシナリオで飲食店の選出を行ってもらった。飲食店の選出後、2つのシステムについて飲食店の選出に対する満足度と、使用したシステムの満足度について質問紙調査を行った。また、飲食店選出中の作業画面と選出にかかった時間を記録した。

結果:実験の結果、飲食店の比較にかかる時間や画面遷移数、満足度については大きな差は見られなかった。しかし、満足度においては提案手法に関して自由回答から肯定的な意見が得られた。特に、選出のスムーズさとシステムの使いやすさの項目については、肯定的な回答が見られた。また、実験の最後に行った質問紙調査では、提案手法の方が使いやすいと回答した参加者が7割であり、特徴語の提示に対しても肯定的な意見が寄せられた。

結論:従来手法と提案手法の間に選出時間や満足度に関する大きな差は見られなかったものの、特徴語の提示によって飲食店の比較や選出の行いやすさの向上に寄与することは可能であることが確認できた。また、実験では特徴語から検索を行う機能が望まれていた。これに加えて特徴語の提示と口コミの一部を併せて提示する、もしくはユーザのニーズに合わせて提示の仕方を変更できるような機能を実装することにより、特徴語提示をより効果的に行うことができると考えられる。


卒業論文に戻る