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SAJ 競技データバンクを用いたアルペンスキーの競技人口分析と各地域スキー連盟の取り組み

藤原哲那(2023年度卒)

スキー競技に関わる団体の体制に注目した。全日本スキー連盟(SAJ)はスキー、スノーボードの競技や教育に関する統括を行っている。そしてSAJに加盟する各県の団体が存在する。各県のスキー連盟の施策内容などはおおまかな方向性はSAJによって決定されるが、細かい内容については、各県のスキー連盟の判断に一任されている。そのような状況に注目し、各地域連盟の取り組みや特徴を明らかにすることが本研究の目的である。

今回の研究では、SAJ競技データバンクと呼ばれるSAJに会員登録している選手の情報を閲覧できるサイトから、情報を獲得することができる競技に限定し、さらに、その中でも最も競技者数が多いアルペンスキー競技に限定して、データベースを用いた調査と半構造化インタビュー調査を行った。

研究方法は、最初にペルソナの設定を行い、研究の対象となる人物を明確化した、その後、SAJ競技データバンクから取得した情報をもとにデータベースの作成を行った。データベースを活用し、リサーチクエスチョンをもとにR言語を用いて調査を行った。調査結果をもとに対象となる都道府県を選定し、半構造化インタビュー調査を行った。 データベースを活用した調査では、様々なリサーチクエスチョンへの解答となるデータの出力を行った。その中で、競技人口と年齢に注目し、対象の都道府県の類型化を行った。多くの県では年代が上がるごとに競技人口が減少していくが、人口が回復していく特徴を持つ県があった。具体的には岡山県スキー連盟、兵庫県スキー連盟、宮城県スキー連盟の3つの県である。

また、どの程度の人が競技を翌シーズンも継続して行っているかを表す値を継続率と名付け、その値を各都道府県において算出した。その中で兵庫県スキー連盟は4番目、岡山県スキー連盟は8番目に継続率の値が高かった。 岡山県スキー連盟、兵庫県スキー連盟の2つの団体に対して、半構造化法を用いたインタビュー調査を行った。

結果として、中学生以下となるジュニア世代などを意識している年代とし、行事や取り組みを行っていた。これらは競技人口を支える基盤となるため、非常に重要であり、実際にも成果がでていることが事前調査の結果と比較することで確認できた。 競技を継続しやすい環境における取組は地域連盟として具体的な施策はうかがうことはできなかった。しかし、地域連盟において、競技だけでなく、それらに付随するイベントや交流などを通じて、有効な人間関係を築くことが、スキー競技を継続する要因の一つであることがわかった。 また、岡山県スキー連盟、兵庫県スキー連盟はともに県庁との友好な関係性を得ており、それが継続率の増加につながっていることが考えられる。


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