研究のタイプ
概要
研究のタイプや貢献の種別について理解すると研究テーマの設定がやりやすくなります。「型破り」な研究を目指す方もまずは「型」を理解しましょう。
貢献の種別を考えよう
- 「どんな研究をしようか」→「どんな貢献をしようか」と思考を変えましょう。
- 社会に対する貢献がイメージできると、自然に目的が定まり、道のりが見えてきます。
- 研究を終える頃に「自分の研究は社会にどんな貢献があるのだろう」と考えるのは得策ではありません。
タイプ1:解明型研究(分からない→分かる)
- 解明型研究では、世の中の複雑な作用の機序を解明することで社会に貢献します。
- 情報インタラクションの対象は、自然界、人間界、コンピュータ界など幅広く設定することが可能です。
- 機序とは「メカニズム」や「プロセス」のことです。ある現象が観察できる時に、その主要構成要素や作用の因果関係のことです。
タイプ2:創造型研究(できない→できる)
- 創造型研究では、人間情報インタラクションにおける新しい体験を提供することで社会に貢献します。
- 普段自分が使っているツールやサービスの改善案を検討しても良いですし、これまで困難だったことを可能にする研究でも良いです。
- 大切なことは人間の情報インタラクションの体験をいい方向に変化させる仕組みを考えることです。
より高度な貢献種別(大学院生向け)
欧州情報検索国際会議(European Conference on Information Retrieval)では、研究の貢献を以下のように分類しています。1つの研究で複数の貢献を実現することも可能です。
- 理論研究:検索推薦技術や情報行動現象を説明可能にする法則や仮説の枠組みの提示
- 実証研究:複数の検索推薦手法やインタラクション手法を比較分析し、それぞれの特徴を解明
- ユーザ研究:情報行動の解明や新しいユーザインタフェース(UI)、ユーザ体験(UX)の実現
- 応用研究:新しいシステムの設計からプロトタイプ実装、評価実験を行い、有効性を検証
- 概念研究:ある分野における新しい視点や研究機会を体系的に提供
- 指標研究:技術評価やユーザ実験で利用可能な「ものさし」の設計とその有効性の検証